専敬寺 暁天講座

今年も8月13日~15日までの3日間、朝5時半から暁天講座が開催されました。初日の13日は、新井のぞき戸 願生寺 坊守 平出京子様より講演を頂きました。お話の内容は個人の生い立ちから現在に至るまでのお話でした。まず2つの出来事があり、その1つ目は“子供が出来た事”、2つ目は“あいあう食堂を始めた事”でした。以下、坊守様の言葉を要約して書きます。

一つ目の“子供が出来た事”については、自身が大阪におられた頃、生活する事が出来ずワーキングプアーであったため人生について非常に悲観的でありました。今は縁があって新井の寺に嫁に来る事が出来、楽しい日々を送れる事に喜びを感じております。嫁いだ頃は子供に恵まれず不妊治療を試みていましたが、ついに叶う事がありませんでした。40歳という高齢もあり子供を授かる事は諦めました。
でも世の中には恵まれない子供が沢山おり、そうした環境の中で育つ子供を私共が受け入れる事が出来ないか模索しておりました時に、私が育った大阪で、色々な事情により生後間もない子供達がいる施設で里親を探している事を知り、里親になろうと決心しました。でも親になると言う事は色々と難しい制約があり、また相性も大切です。その施設では生まれたばかりの子供に対して個人との相性を確かめるため幾度となくマッチングをし、ついに私共は人の親になる事ができました。子供を受け入れてから6年の歳月が経ち、今とても幸福に過ごす事が出来ております。
私共の所は寺という職業柄色々な方が訪れ、そのため私共の所に来た子供は色々な視点から皆様のご意見を頂く事が多いかと思います。その中で生きていく事はすごく大変な事だと考え、この子供には自身の生い立ちについて包み隠さず話をしていこうと思っております。

2つ目は、先に述べたように自身がワーキングプアーであった事を考え、
「この地域にも生活に苦しい方々がいるのではないか、ご飯を食べられない子供がいるのではないか」

と思い、子ども食堂を何とか実現できないかと色々模索し、実現する事が出来ました。名前を『あいあう食堂』として数年が経ちました。当初は声を掛けてもなかなか浸透する事が無く、個人の見栄や時間的な余裕の無さ等なかなか思い通りにいかない事を痛感しました。現在では月に一度開催する時に、35名という子供達等が大人と子供の境が無く一緒にテーブルを囲んでいます、という内容でした。

講演を聴き、個人で色々と悩んでいる時は何も望みを見いだせる事が無く、先を見る事も出来ませんでした。でも人との縁は私の人生を変える事が出来る。人との繋がりがその人の生き方を変える事が出来る。コミュニティはその人を変える事が出来るのではないか、と感じました。

2日目は三和村 称妙寺 住職のお話でした。今住職は58歳という年齢です。約35年前に寺に帰ってきました。これからこの寺をどう守っていくか、そして今は自身の年齢が高齢となり、老いに対して悩んでおりました。
そんなある時、長崎の近藤アキラさんが「蜘蛛の糸」をパントマイムで披露され、それを見てとても感動しました。次に、林洋子さんが宮沢賢治の「ヤマナシ」の世界を語った作品を聴き、自身も大変深く感銘を受けました。続いて水上勉さんの本を読みました。内容は水辺にいるトノサマガエルが木に登る事で世界が変わると思い込み、試みるお話です。でも木の上はトンビが行き交う危険な世界でした。カエルのいる所はとても住みよく安全な世界であった事に気づかないという内容でした。様々な方々の表現を見て深く感動し、ご自身も表現者として子供達の前に立ちパフォーマンスを披露しておられます。

物語を作り長く続けていく事は大変なご苦労があるのだろうと感じました。

最終日は大島区仁上 南雲正男さん(78歳)のお話でした。お話の内容は素人芝居大浦安に長年参加された思いを語られました。
「当初参加した時はこれほど長く続くとは考えておりませんでした。また仁上では平成9年よりホタルについての取り組みを始めましたが、,これも今では23年という長い歴史を積み重ねております。どうしてこのような事に取り組んできたのかというと、集落を見回しても何も楽しい事が無く魅力を感じる事が出来なかったため、
私にも何か地域を盛り上げる事が出来ないかと思い、大浦安に参加しました。参加する事で地域の発展や仲間作りをする事が出来、また情報発信源として活躍する事が出来ました」

という内容でした。それは78歳という、ややもすると引きこもりがちな年齢の老人のお話ではなく、活動的な考えを持った個人のものでした。
南雲様のお話は非常に魅力的に私には映りました。

3日間を通して、今回の暁天講座を振り返ると共通点が見えてきました。1日目、2日目、3日目。全て人は一人では生きていけず、人との支え合い、人との関わりが大切であると教わりました。でもその内容は“待っていては達成出来ない”と言う事を表しているのだと思います。自分で開拓し行動する事が人との繋がりを持ち、コミュニティの発展に繋がる事を再確認しました。3日間、大変ありがとうございました。